こんにちは、Re・maison(リ・メゾン)の梅田です。
親が施設に入ることになったとき、
避けて通れない問題が 「親の家をどうするか?」 です。
実務では次のような相談が非常に多いです。
「親が施設に入ったから家を売りたい」
「親がもう住まないので管理が大変…」
「空き家のまま放置したくない」
「でも本人が売却に同意できる状態ではない」
結論から言うと、
親の家は売却できるが、“親の判断能力があるかないか”で手続きが大きく変わる。
この記事では、
親が施設に入ったタイミングで家を売る方法、必要書類、注意点、
判断能力の有無による違いを、実務ベースでわかりやすく解説します。
1.親が施設に入っても家は売却できる?
結論として、売却自体は可能です。
ただし、
本人が売却の内容を理解できるか
署名押印ができる状態か
代理人での手続きが必要か
ここが大きなポイントになります。
■ 判断能力の有無で手続きが変わる
判断能力がある → 本人が売却手続き(委任状で代理可)
判断能力がない → 成年後見制度の利用が必須
この判断を間違えると、
売却が無効になることもあります。

2.親が「判断能力あり」の場合
入院・施設入居中であっても、
売却内容を理解できる状態であれば、本人が売却可能です。
■ 手続き方法
本人が署名押印
体調が難しければ「委任状」で家族が代理対応
公的書類の手配は家族がサポート可能
■ 注意点
本人が「売却内容を理解している証拠」を残したほうが良い
(意思確認書、面談記録など)
押印が困難な場合は対面での意思確認が必要なことも

3.親が「判断能力なし」の場合(成年後見制度)
認知症が進んでいる、判断能力が低下している場合は、
本人名義の家を家族が勝手に売ることはできません。
この場合は
■ 成年後見制度の利用が必須
家庭裁判所に申し立て
後見人が選任される
後見人が売却手続きを進める
売却には裁判所の許可が必要
● なぜ許可が必要?
家を売る行為は「財産の重大な変更」とみなされるため、
本人の利益が損なわれないよう裁判所がチェックするから。
● デメリット
手続きに時間がかかる(数ヶ月)
費用がかかる
スケジュール通りに売却が進まないことがある
ただし、
適切に進めれば合法的に売却可能です。
4.売却時に必要な書類
親の家を売る場合は、通常の売却より書類が多くなります。
■ 親(本人)に関する書類
登記識別情報(権利証)
印鑑証明書
本人確認書類
■ 代理人(家族)が行う場合
委任状(判断能力がある場合のみ有効)
代理人の本人確認書類
■ 成年後見制度を利用する場合
裁判所の選任審判書
後見人の登記事項証明書
売却許可の審判書
これらが揃わないと、契約・決済に進むことができません。

5.トラブルを避けるための注意点
親名義の家を売るときのトラブルは意外と多いです。
特に以下は要注意。
■ ① 本人の意思確認が曖昧なまま契約してしまう
→ 無効になるリスクあり。
■ ② 兄弟間で売却方針の認識が不一致
→ 売却後の分配で揉める。
■ ③ 成年後見制度の手続きが遅れて売却スケジュールが崩れる
→ 買主が離れてしまうケースも。
■ ④ 空き家期間が長くなり固定資産税が上がる(特定空家問題)
■ ⑤ 不動産会社が制度に慣れていないと進まない
→ 代理売却・後見制度の経験が豊富な会社に相談すべき。
◆千葉市でよくあるケースとポイント
千葉市では次のような相談が特に多いです。
■ ● 親が千葉市に住み、子どもが県外に住んでいる
→ 委任状で子どもが代理するケースが一般的。
■ ● 認知症が進んでから相談が来る
→ 成年後見制度が必須となり、売却まで時間がかかる。
■ ● 相続と売却が同時進行になる
→ 名義変更+売却のダブル手続きでスケジュール調整が必要。
■ ● 空き家状態のまま数年経ち、管理が限界
→ 固定資産税・劣化・防犯面で急ぎ売却が必要なケースも。
千葉市では高齢者の単身世帯が増えているため、
このテーマの相談は年々増えています。








