こんにちは、Re・maison(リ・メゾン)の梅田です。
相続した不動産は、売却するタイミングによって税金が大きく変わります。
特に相談が多いのが、
「3年以内に売ると税金がお得になるって本当?」
「そもそも相続不動産の税金の仕組みが分からない」
「相続して放置しているけど、売るタイミングはいつが正解?」
という質問。
結論から言うと、
相続不動産は“相続から3年以内に売却したほうが税制面で有利になるケースが多い”
というのは事実です。
ただし、適用される特例や計算方法には条件があるため、誤解したまま進めると損をすることもあります。
この記事では、国税庁の基準に沿って、相続不動産の売却タイミングと税金のポイントを分かりやすく解説していきます。
1.相続不動産を売却するとかかる税金
相続した不動産を売るときに発生する税金は主に次の3つです。
■ ① 譲渡所得税
売却益(利益)に対してかかる税金。
所得税・住民税の合計で
短期譲渡:39.63%(所有期間5年以下)
長期譲渡:20.315%(所有期間5年超)
となります。
■ ② 復興特別所得税
所得税に対して2.1%上乗せされる税金。
■ ③ 印紙税
売買契約書に貼る印紙代。
▼ ポイント
相続した不動産は「相続した日」ではなく、
“被相続人が所有していた期間を引き継ぐ” ため、
長期譲渡になるケースがほとんどです。
これは売主側にとって大きなメリットです。

2.なぜ「3年以内の売却」が有利と言われるのか
理由はシンプルで、
「相続税の取得費加算の特例」が使えるから。
これは、相続税を支払った人が、
不動産を売却する際に 一部を取得費(経費)に加算できる制度 です。
■ 特例の効果
取得費が増える → 利益が減る → 税金が下がる。
つまり、税負担を大幅に軽減できます。
■ 特例の適用条件(重要)
相続税が課税されている
相続開始日から 3年10か月以内 に売却する
相続した本人が売る
※「3年以内」という表現が多いですが、正しくは“3年10か月以内”です。
■ 実際どれくらい変わるの?
100万円〜数百万円単位で税額が変わることがあります。
千葉市でも、特例を使うことで利益がほぼゼロに近づいたケースもあるほどです。

3.相続不動産の特例(取得費加算の特例)
もう少し深掘りします。
■ 取得費加算の特例とは?
相続税として払った金額のうち、
不動産に対応する部分を“取得費”として売却時に加算できる仕組みです。
■ 具体例(イメージ)
売却価格 3,000万円
被相続人の取得費 1,000万円
相続税のうち 400万円 が土地の評価分
→ 取得費は 1,400万円 に増える
その結果、
利益(譲渡所得)が小さくなるため、税負担が大幅に軽くなります。
4.相続から売却までの流れ
相続不動産を売却するときは、次の手順で進むのが一般的です。
Step1:相続登記を行う
2024年から義務化。放置は罰則の対象になるので必須。
Step2:遺品整理・残置物の整理
売却価格に影響するため早めに対応。
Step3:相続税の申告(該当者のみ)
納税額が特例の取得費加算に関わる。
Step4:査定(複数社でもOK)
相続物件は買取・仲介の両方をシミュレーション。
Step5:売却活動または買取の選択
空き家の場合、固定資産税の負担も考慮して決める。
Step6:売却完了 → 確定申告
翌年の確定申告で特例を適用。

5.よくある失敗・注意点
相続不動産は税金が複雑で、誤解されたまま売却してしまうケースが多いです。
■ ① 「3年以内の売却」と思い込んで期限を過ぎる
正確には 3年10か月。
これを勘違いすると特例の権利が消えます。
■ ② 相続税が課税されていないと特例が使えない
基礎控除内で相続税がかからなかった人は対象外。
■ ③ 複数の相続人で持分が分かれている場合に注意
各相続人の申告・特例の可否が異なる。
■ ④ 空き家特例(3,000万円控除)と混同する
相続特例とは別制度。
出身地の空き家売却など対象条件がまったく違う。
■ ⑤ 特例のために急ぎ売却して逆に損する
人気のないエリア
瑕疵がある物件
古い家で解体が必要
こういった場合は、特例より売却価格の方が重要なケースもある。
6.まとめ
相続した不動産は、「いつ売るか」で税金が大きく変わります。
特に 相続開始から3年10か月以内 に売却すると使える
取得費加算の特例 は、税負担を減らす非常に強力な制度です。
そして、相続不動産は
登記
税金
残置物
売却方法
など、判断するべき要素が多いため、
タイミングを逃すと税負担が重くなったり、売却が長引くこともあります。
千葉市周辺で相続不動産の売却を検討している方は、
「自分のケースに特例が使えるのか」
「売却と相続税申告のスケジュールはどう組めばいいか」
こうした点を整理するだけで、判断が一気にラクになります。
不安がある場合は、税理士と不動産の双方の視点が入るとスムーズに判断できますので、
気になるタイミングで相談してみてください。











