
こんにちは。Re・maisonの梅田です。
不動産の契約書といえば、ページ数が多くて難しい言葉もたくさん出てきますよね。
普段あまり目にしないだけに、「どこに何が書いてあるか分からない」「チェックポイントがわからない」と戸惑うお客様も多いです。
今回はその中でも、契約書の中でかなり重要なポイントである
【売買契約書第4条「売買対象面積・測量・代金清算」】について、
徹底的にわかりやすく解説していきます!
1.売買契約書:第4条はなぜ重要なのか?
不動産売買では「この土地・建物をいくらで買う(売る)」という“価格の合意”が中心になりますが、 そもそも「どの範囲の土地か?」「その広さは正しいのか?」「面積に誤差があったらどうするのか?」という“前提条件”が曖昧だと、トラブルのもとになります。
そこで登場するのが売買契約書「第4条」です。
この条文では、
* 売買の対象となる面積はどのように決めるのか
* 測量は行うのか、誰が責任を負うのか
* 面積に差異があった場合、代金をどう清算するのか
といった実務上とても大事な内容が書かれています。
2.「公簿取引」と「実測取引」の違いとは?
まずここが最大の分岐点になります。
公簿取引とは?
いわゆる登記簿上の面積(公簿面積)を基準に売買契約を行う取引方法です。
たとえばマンションの場合、室内の専有面積はすでに登記されていますし、現地で再測量することが難しいため「登記面積通りで契約しましょう」となります。
【特徴】
* 測量による確認は行わない
* 実際の面積が多少違っていても代金の精算なし
* 主にマンションや築浅戸建てで使われる
とはいえ「測れないから仕方ない」というだけでなく、住宅ローンなどの実務面でも公簿面積で事が足りるケースが多いため、一定の合理性があります。
実測取引とは?
こちらは“実際に測って、その面積で契約しよう”という考え方です。
特に古家付き土地や測量図がない物件で多く用いられます。 契約時は仮に登記面積で契約しておき、あとから測量で実面積が確定した段階で、差額を「㎡単価」で調整する――という流れです。
【特徴】
* 測量士などによる測量を実施
* 登記と面積が違えば差額を清算(増えても減っても)
* 土地取引、特に古い物件ではほぼ実測が前提
例) 登記面積:100㎡/実測結果:103㎡/単価:20万円
→+3㎡分=60万円を追加で支払う
この「精算方式」にすることで、売主・買主双方の不公平感をなくすことができます。
3.実測取引におけるポイントと注意点
実測取引にはいくつかのステップと注意点があります。 ① 測量の主体と範囲 売主の負担で、土地家屋調査士などの有資格者が測量を行います。 この際、隣地所有者の立ち会いを求めることが多く、境界の確認が非常に重要になります。 ※公共用地が隣接している場合は立ち会い不要で測量できるケースもあります。 ② 測量図の作成 測量の結果をまとめた「測量図」は、買主へ引き渡されます。 この図面には、対象地の面積や境界ライン、清算対象の区画なども明記されます。 ③ 面積差異の精算 契約時に「基準面積」と「㎡単価」が合意されていれば、実測で増減した面積に応じて代金が調整されます。 これを「実測清算」と呼びます。
4. どっちが多い?公簿取引と実測取引の実態
一般的な傾向としては…
* マンション → 公簿取引(測量できない)
* 新築戸建て → 公簿取引(建築前後に測量済)
* 中古戸建・土地→ 実測取引(測量未実施が多い)
特に昭和時代に建てられた建物は、登記内容と実際の土地にズレがあるケースも多く、「実測してから売買する」のがセオリーです。 買主としても、あとから「思ったより狭い!」という事態を防ぐために、実測取引の方が安心できるという側面があります。
●契約書の条文はこうなっている
実際の契約書では以下のように記載されることが多いです。
■ 公簿取引の場合(マンション等) > 本物件の売買対象面積を表記面積とし、測量による面積と差異が生じたとしても、互いに代金の変更・請求は行わない。 これはシンプルで、「測量しても変更なし」が原則です。
■ 実測清算あり・確定測量なし(土地) > 測量結果をもとに、売主は責任をもって測量図を作成・交付する。 > 測量図には清算対象地の範囲と面積を明記し、登記簿面積との差がある場合は売買代金を㎡単価で調整する。 細かいようですが、測量図の作成義務や隣地立ち会いの省略要件なども明文化されています。
5.「売買代金の清算」はトラブル回避に超重要
面積が変わると当然、価格にも影響が出ます。
● 3㎡増えれば・・・+60万円
● 2㎡減れば・・・・−40万円
高額な不動産売買においては、たった数㎡でも数十万円の差になることがあります。
契約前の打ち合わせで、 * 清算ありか、なしなのか * 単価はいくらか * 測量の範囲や条件は? を事前に明確にしておくことで、あとからのトラブルを未然に防ぐことができます。
6.まとめ|面積と価格は“セットで考える”のが不動産の鉄則
「登記に書いてあるから安心」と思いがちですが、不動産の実務では「現地の実態」が優先される場面も多いです。 登記簿の内容は古かったり、境界に誤差があったり、実測すれば意外な事実が出てくることも珍しくありません。
だからこそ、
* 公簿取引なのか
* 実測取引なのか
* 清算はありかなしか
このあたりを契約前に理解しておくことが、不動産売買での満足度や安心感を大きく左右します。 Re・maisonでは、契約内容について一つひとつ丁寧にご説明しています。 わからないことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談くださいね。