
はじめに
「仲介手数料が無料です!」という広告、最近よく見かけるようになりました。少しでも費用を抑えたい住宅購入者にとって、魅力的に感じるこの言葉。しかし、裏側を知っているプロからすると、“ちょっと待って”と言いたくなることもあるのです。この記事では、仲介手数料無料の仕組みと、そこに潜むリスクについて、一般的な観点から分かりやすくお伝えします。
1.仲介手数料と無料の仕組とは?
まず、仲介手数料とは、不動産会社が物件の紹介や契約手続き、調整などの業務を行った対価として、買主・売主それぞれから受け取る報酬のことです。法律では上限が定められており、一般的には以下のように計算されます。
【仲介手数料の上限】
(物件価格 × 3%)+ 6万円(+消費税)
例えば3,000万円の物件であれば、約105万円(税込)が上限となります。
●「無料」はどういう仕組み?
一見「無料」と聞くと、不動産会社がボランティアでやってくれているように感じるかもしれません。しかし実際には、不動産会社は売主から仲介手数料を受け取っており、買主側の仲介手数料を割引または無料にしているだけというケースがほとんどです。たとえば、売主が不動産会社である「新築建売」の場合、不動産会社は売主から十分な利益を確保しているため、買主側に手数料を求めなくてもビジネスとして成立します。
2.「無料」に潜むリスクとは?
(1)中立性の欠如
仲介手数料を売主側からしか受け取らないビジネスモデルでは、どうしても「売主寄りの視点」になりがちです。買主の希望や条件に寄り添うよりも、「契約が成立すればそれでいい」という姿勢が見え隠れするケースもあります。
実際、現場レベルではこんな極論も成り立ってしまいます。
「あなたからお金もらってないんだから、そこまで言われる筋合いはない」
――これはあくまで言葉には出さずとも、心のどこかにあるマインドです。仲介会社にとって「誰に対して責任を持つか」という意識の差は、そのまま対応の温度差に直結します。特に要望が多いお客様や、細かい条件を確認したいお客様に対して、心のどこかで「面倒だな」という感情が湧いてしまう可能性も否定できません。これは、営業マン個人の資質だけでなく、ビジネス構造そのものが生み出す弊害でもあります。
(2)アフターフォローの質
「無料だからといってサービスが悪くなるとは限らない」と言いたいところですが、現実にはサービスの質が落ちるケースが多いです。特に気をつけたいのが、広域対応をうたう会社です。たとえば「東京に本社がある会社が、千葉・埼玉・神奈川のどこでも仲介手数料無料で対応します!」と謳っていた場合、その会社は本当にその地域の特性を理解しているでしょうか?
①不動産はエリアの知識が命です。
②そのエリアの治安や通学環境
③地域特有の浸水リスクやハザードマップ
④土地の将来性や再開発計画
⑤人気の学区・駅の雰囲気
こうした情報は、机上のデータではわからない生活実感に基づく知識です。それがないまま物件を紹介されても、買主としては「価格だけで決めた結果、住みづらさを感じる」という事態になりかねません。
(3)地域理解の欠如=将来の資産価値に影響も 実は、地域の理解度が甘いことは、「住み心地」だけでなく「資産価値」にも関わってきます。たとえば同じ市内でも、
①このエリアは再開発予定があるから資産価値が上がりそう
②この駅は急行が止まらないしバス便も減る予定だから価格が落ちやすい
こうした細かな差が、将来の売却時に大きな影響を与えます。「仲介手数料が無料だったからこの家にした」という選択が、将来的に後悔につながってしまうかもしれません。
3.Re・maisonが仲介手数料を無料にしている理由
Re・maisonでは、新築一戸建てに限り、仲介手数料を無料にしています。ですが、それには明確な理由と条件があります。
●「地域がわかる範囲だけ」に限定している
弊社では、千葉市・船橋市・市川市・習志野市など、代表である私が長年営業活動してきた地域のみに絞って無料対応をしています。たとえば柏市や松戸市など、あまり知見のないエリアについては対応していません。理由はシンプルで、「知らない地域で中途半端な提案はしたくない」からです。
その地域の物件相場や治安、土地の傾向など、お客様が安心して判断できる材料をしっかり提供するには、地域理解が不可欠です。そこを曖昧にしてしまうと、仲介手数料が無料であっても、お客様にとって価値のある提案にはなりません。