結婚前に家を買うのってアリ?営業の立場から伝えたい「現実」と「準備」

「まだ独身だけど、家を買ってもいいのかな…?」 ここ数年、こういったご相談を受けることが本当に増えました。特に20代後半~30代前半の方に多く、結婚を見据えていたり、逆に「一人でもマイホームを持ちたい」と考えていたり。ライフスタイルの多様化を感じる場面でもあります。 このご質問に対して、まず結論を申し上げます。 **結婚前に住宅を買うのは、全然アリです。むしろ“戦略的にアリ”です。ただし、買うことそのものに対する問題はなくても、現実には「住宅ローン」という壁が立ちはだかるケースが増えているのです。 今回はその理由と、注意すべきポイントについて、実際の現場経験を踏まえてお伝えしたいと思います。
1.独身で家を買うなら知っておくべき「住宅ローンの壁」
不動産を買うにあたって、多くの方が住宅ローンを利用しますよね。 ここで最初にお伝えしたいのは、**「独身」だとローン審査が厳しくなることがある**という現実です。 たとえば、実際にあった話ですが「年収550万円で正社員、勤続年数も5年。特に問題はないと思っていたけど、“独身なので、頭金500万円は出してください”と銀行に言われました…」 このように、**属性としては悪くないにもかかわらず、独身という理由だけでフルローンが組めない**というケースが実際にあります。お客様もショックを受けていましたが、残念ながらこれは特殊な例ではありません。
2. なぜ?昔は通っていたのに…時代とともに変わった「独身者への見方」
僕自身、不動産業界に10年以上関わってきて感じるのは、住宅ローン審査の“時代背景による変化”です。 10年以上前であれば、独身の男性が住宅ローンを組むのはごく当たり前で、審査もスムーズに進むことが多かったんです。 むしろ、その当時は独身女性の方が「結婚で退職するかもしれない」などという理由で、ローンが通らないことが多かった。 今でいうと考えられないような、男女差別的な背景があったわけですね。 時代が進み、社会全体の価値観も「男女平等」へとシフトしていきました。 その流れを受けて、今では女性の方も安定収入があれば住宅ローンが組めるようになっています。これは非常に良い変化です。 しかし、その一方で―― “独身そのものがリスクとみなされる”時代になってしまったのも事実なんです。
3. 独身が警戒されるようになった理由:「かぼちゃの馬車事件」とは?
この背景には、とある“事件”が大きく関係しています。 そう、「かぼちゃの馬車事件」です。 これは2017〜2018年頃、シェアハウス投資を中心に不正融資が横行していた問題で、駿河銀行がその舞台となりました。 住宅ローンやアパートローンを本来「自分が住む」目的で借りたはずの人たちが、実際には人に貸して運用していた。しかもその多くが**独身のサラリーマンだった**んです。さらに、書類の改ざんや銀行との共謀など、非常に悪質な手口も使われていました。 これにより、金融機関は一気に「独身=投資目的の購入」という目で見るようになりました。 結果、独身者全体に対してローン審査のハードルが一気に上がってしまったわけです。
4. 実例:入籍前と入籍後で、審査の結果が変わったケース
実際に担当したお客様でこんな方がいました。 30代前半の男性で、年収も安定しており、物件価格は4,000万円台。 彼女と同棲中で「来年には入籍予定」とのことでした。 ただ、住宅ローンの事前審査を出してみたところ、 独身のため、フルローン不可。最低500万円の自己資金が必要」との結果に。 それをお伝えすると、「じゃあ、先に入籍しようと思います」とお二人で話し合い、急きょ入籍を前倒し。 そして1ヶ月後、同じ金融機関・同じ条件で再審査したところ、なんとフルローンがすんなり通りました。 金融機関からすれば、“家計が2馬力になる”という安心感が与信に直結するんですね。 もちろんすべての銀行がそうというわけではありませんが、現場ではこういったケースが本当に多く見られます。
5. 結婚前に家を買うなら、戦略とタイミングがカギ
ここまでお読みいただいた方にはお分かりかと思いますが、 「結婚前に家を買うのは悪くない。むしろアリ。ただし、準備がすべて」です。 具体的にはこんな準備をおすすめします: ●自分の属性(年収・勤続年数・勤務先)を把握する ●頭金ゼロを希望するなら、入籍を前倒しする選択肢も検討 ●事前審査は必ず「複数の銀行」で比較する ●営業マンに“本音”で相談する(収入や結婚時期も正直に) こうした準備をしておくだけで、ローンが通るか通らないかの分かれ目になることも少なくありません。
6. 最後に:不安なら、まずは相談からでも大丈夫です
不動産購入は、人生でもそう何度も経験することではありません。 しかも住宅ローンの審査って、「通るかどうか分からない」からこそ不安になりますよね。 でも僕はいつもこう思っています。「買うことに不安があるのは当たり前。大事なのは、ちゃんと知って、正しく動くこと。」 ネットやSNSでいろんな情報が飛び交う今の時代。 でも、「誰が、どういう立場で言っているのか」が分からない情報もたくさんあります。 だからこそ、僕たちのような現場の営業マンが、お客様一人ひとりの事情を聞いたうえで、「この進め方が一番良いと思いますよ」と提案できる存在でありたいと思っています。 結婚前でも、独身でも、マイホームが欲しいという気持ちを否定する理由は何一つありません。 不安なことがあれば、いつでも気軽に相談してくださいね。きっと、あなたにとっての“ちょうどいい買い方”が見えてくるはずです。